こんにちは。早いもので、9月も今週で終わりですね。
今日は、週末オンラインで開催された教育セミナーで感じたことや学んだことをお伝えします。
避けては通れない教育とお金の話

前半では、高校、その先の学校に進んだ場合に必要なお金のことや、それをサポートしてくれる仕組みについての話がありました。
講師は、星槎国際高等学校厚木学習センターで助成金も担当している原先生でした。
高校以降は、授業料はもちろん、学校によって様々なお金が必要になりますね。学校の種類(公立・私立・通信制)によっても、金額は変わり、それ以外にも施設の維持費や制服の費用など、学校によって違いがあります。
限られた時間で、全てを紹介することは無理ですが、原先生からは、以下のように返済の必要がない支援金や給付金、そして、後々返済していく必要がある教育ローンなどの主なものについて、それぞれ説明がありました。
返済の必要がないお金
- 国の就学支援金
- 都道府県奨学のための給付金
- 市町村の奨学金
国の就学支援金 | 都道府県奨学のための給付金 | 市町村の奨学金 | |
---|---|---|---|
申請場所・方法 | 高校入学後、学校に申請 | 学校または都道府県に提出 | 該当市町村に住んでいる世帯 |
対象者や条件 | 保護者所得が910万未満(目安)の家庭 | 非課税世帯、または生活保護世帯 | 世帯年収以外に、登校日数や評定平均値の基準がある場合も。 |
金額等 | 所得に応じて、標準額、もしくは2.5倍加算額。約12〜30万円 | 授業料以外の教育費に当てる名目で約5万円 | 市町村の規程により異なる。 |
返済の必要があるお金
- 都道府県の奨学金
- 国の教育ローン
- オリエントコーポレーション学費サポート
都道府県の奨学金 | 国の教育ローン | オリコ学費サポート | |
---|---|---|---|
対象者や条件 | 該当都道府県在住世帯が対象で、世帯年収以外に、評定平均値等の基準がある場合も | 貸与の上限があり、上限に達すると、進級時等に再審査が通らない場合がある | 世帯の年収や状況で、貸与金額に変動があり、上限額や審査により、更新の際の貸付停止もある。 |
金額等 | 平均30,000円/月前後で、金額を選べる都道府県も多い(無利息) | ~350万円(金利1.66%)、世帯年収等で、金額に変動がある | 実質年率4.30%(オリコと提携してる学校ごとに金利変動) |
特記事項 | 他の貸付と同時に貸与できないこともある。 | 在学中は、利息のみ返済していくプランもある。 | インターネットから、すぐに申し込み・審査が受けられる。 |
最後に、原先生から、以下のような話がありました。

学校の説明会などには保護者の方も一緒に参加して、お金のことは早めに準備する方が良いですね。
今回紹介しきれていない支援金などもあり、また一緒に使えるもの、使えないものもあります。色々あって、情報収集も大変だし、申請の時期や期間もそれぞれなので、心配な方や、利用を考えている方は、できるだけ早く、身近な窓口で相談して下さい。
ギリギリまで待つことなく、早いうちに調べておくと、学校選びや、申請もしやすくなりますね。
正しく子どもを理解する重要性

後半は、星槎大学大学院教育実践研究科、准教授の岩澤 一美先生の話でした。
先生は、長年現場でバリバリ対応され、現在は大学院で教鞭をとっておられます。
毎日、子どもと接していると、子どもの問題行動にイライラして、叱り、罰を与えて、親子ともども嫌な気もちになり、親子関係が悪化する!そして、益々子どもの問題行動が目に余り、イライラしてしまう!という経験は誰しも覚えがあると思います。今まさに、その真っただ中!かもしれません。
このような、悪循環(負のスパイラル)はどこから生じるのでしょうか?

うちの子が、他の子どもより悪いの?
私が、ダメな親なの?
その答えはNo!です。
子どもが悪いからでも、親がダメだからでもないのです。
先生が、最初に説明されていたのは、【子どもを正しく理解する】ことでした。

うちの子、本当にやる気がなくて~。
ぼ~っとしてるんですよ!
勉強は苦手みたいです。
このようなボヤキしたことありませんか?
子どもと関わることの多い仕事では、よく耳にするフレーズです。もちろん、自分の子どもなので、多少謙遜している場合もあるのかもしれませんが。
親が見えている子どもと、第三者から見る子どもの姿は異なる場合が多くあります。
勉強は苦手な子でも、運動が得意な子は、スポーツクラブの先生からは高評価を得る場合も多くあります。
また、人見知りやボーっとしているような子どもでも、学童や習いものでは、礼儀正しい言動や、下級生の面倒を見て、先生が感心しているようなことも多くあります。
良い所が1つもない!なんて子どもに出逢ったことは一度もありません。どの子どもにも色々な良さがあります。それを保護者に伝えると、

さぼってるだけではなかったのか~。
子どもが丁寧に取り組むなんて言われたのは初めてです。
うちの子どもが変じゃない!って分かってもらえたようで嬉しいです。
というような声を聞きます。
そして、第三者から、知らなかった子どもの部分を伝えられることで、親の子どもを見る目が変わり、それに伴って親子関係が改善することも多くあります。
このように、子どもを適切に理解する、知ることは、非常に大切なのですが、この講演の中でも【子どもを平面ではなく立体的に見る】ことの大切さを話されていました。
子どもを正しく見るって、なかなか難しいのですが、先生からは、以下のような方法が提案されました。
- 子どもを取り巻く周囲の人からの情報収集
- 知能検査
【親だから、子どもの全てを知っている!】と背負い込んでしまわずに、学校の教師、養護教諭、学校カウンセラー、学童の先生、習いものの先生、塾の先生など、色々な人から話を聞くことで、親が知らなかった子どもの一面を知ることもできるかもしれません。
また、知能検査では、知能自体の結果が重要な訳ではなく、以下の能力のバランスはどうか、大きな偏りはないかなどを客観的に見ることで、子どもに合った対応方法も見つけることができるようになるとのことでした。
・言語理解
・知覚推理
・ワーキングメモリー
・処理速度
子どもの行動と適切な対処法

子どものことを正しく理解できるようになったら、今度は、子どもとの向き合い方ですよね。子どもの様々な行動に、どのように向き合うことが適切なのか、とてもタメになるお話がありました。
まず、子どもの行動を以下の3つのパターンに分けて考えます。
- 好ましい行動
- 好ましくない行動
- 許しがたい行動
そして、それぞれの行動にどのように対応するべきかという話がありました。
好ましい行動
対応方法:肯定的注目を与える
- ほめる
- 微笑む
- スキンシップ
- 励ます
気を付けることやポイント
- 結果だけに肯定的注目を与えない➡プロセスを大切に
テストで100点を取ったことよりも、その為に一生懸命漢字を練習したことに焦点を当てる。大会で優勝したことよりも、毎日自主練をしたことや、苦しい局面で諦めずに戦った姿を称える。
- 具体的に分かりやすく肯定的注目を与える(どのような行動がなぜ良かったのか)
✖洗濯物入れてくれてありがとう。次もお願いね。
○洗濯物干したけど、急に雨降ってきて、仕事しながら気にしてたんだ。ぬれたら、洗い直しだな~って思ってたから、気が付いて洗濯物、家の中に入れてくれたから、ぬれずに済んで、洗い直しもしなくて済んだから、本当に助かったよ。ありがとう。
どの行動が、なぜ良かったのか、価値があるのか、それに対して大人がどう感じたのか、を具体的に伝えることで、子どもは、再び同じような状況になった時に、同様の行動をとるようになる。➡好ましい行動が強化される。
好ましくない行動
対応方法
- 否定的な注目を与えない
- 好ましくない行動を無視する
気をつけることやポイント
- 好ましくない行動を強化しない
好ましくない行動を叱る、子どもの要求を通してしまうことにより、子どもは、おもちゃを投げる、悪いと理解していることをわざと行う、泣いたり暴れたりすることで、親が自分に注目してくれる、自分の要求を受け入れてくれると勘違いすることで、好ましくない行動を頻繁に取るようになるので、その場の感情で怒る、叱る、怒鳴る、要求を受け入れることは絶対にしないことが重要。
2.行動を無視する意味を理解する
大人の言うことを聞かないから、罰として子どもを無視するのではなく、あくまでも、【好ましくない行動】を【好ましい行動】に変えるためでることを忘れない。そして、最後に【好ましい行動】を導くことで、【肯定的な注目】を与えて、やり取りを終えることができる。
例)

さあ、時間だから、おもちゃを片付けなさい!
子ども:まだ遊びたいのに、片付けるように言われ、面白くないので、おもちゃを箱の中にわざと叩きつけてしまう、入れる。
そんな様子を見ると、ついつい、

何してるの!おもちゃ壊れちゃうでしょ!そんな乱暴するなら、おもちゃ捨てるよ!
となってしまいがちですが、ここで反応してしまうと、子どもは益々好ましくない行動を続けたり、パニックになって泣きじゃくってしまったり、結果として、部屋は片付かずに、親子ともに嫌な気持ちで終わってしまうことになりかねません。
そこで【好ましくない行動を無視する】ことが大事になります。
子どもが、おもちゃを叩きつけて、おもちゃ箱に入れていても、その行動は無視するのです。その場から離れることはせず、子どもが危なくないように見守りつつ、でも口出しはしないわけです。最終的に、おもちゃが全て片付いたら、

全部片付いたね。部屋がきれいになって気持ちいいね~。
と、肯定的な注目を与えることで、子どもは【片付ける】行動=【ほめてもらえる】と認識して、次回は、おもちゃを叩きつけずに片付けるようになっていくのです。
ただし、この好ましくない行動を無視していても、子どもが【どうして良いか分からず】好ましい行動ができない場合には、指示を出したり、サポートをしたりすることも必要だということでした。
そして、そのような場合に大切なことは、CCQだそうです。
- C: Calm 落ち着いて
- C: Close 子どもが指示などに注目できる場所まで近づいて
- Q: Quiet 静かで穏やかな口調で
このような態度を維持しつつ、子どもに振り回されることなく、一貫した対応をすることが非常に大切だとの話でした。
許しがたい行動
対応方法
- いきなり叱らない
- 許しがたい行動を続けた場合に起こることを予告する
- 子どもに、行動の選択をさせる
気を付けることやポイント
- 急に叱るなどの対応をしない
急に怒鳴ったり、叱っても、子どもも驚くだけ、恐怖を覚えるだけで、その場では一旦行動を止めても、また繰り返す可能性が高い。
- 許しがたい行動を続けた場合に起こることを、あらかじめ伝える
「時間になっても勉強せずに、ダラダラ動画を見ているのであれば、スマホは没収する。」というように、子どもに【予告】することで、子どもが準備しやすくなる。そして、好きなことを続けて嫌な結果を受け入れるか、好きなことを止めて嫌な結果を回避するか、【行動の選択】ができる。
一方的に、「今すぐ動画を切りなさい!」と命令するよりも、子どもが与えられた選択肢の中で、最良のものを選ぶことで、【自分の選択】になるので、指示に従いやすくなるそうです。
いずれの段階でも、許しがたい行動を止めて、好ましい行動ができた場合には、「時間通りに勉強が始められたね。」「きちんと自分で決めた通りに行動できたね。立派。」というように、肯定的な注目を与えることで終わることができ、それは非常に重要なことだとのことでした。
全ての行動に対して、肯定的な形(ホメる等)で、その場面を終えることで、更なる子どもの好ましい行動に繋がり、親も子も、イライラする、関係が悪化することを防ぎながら、より良く次のステップに進むことは、とても重要だと感じました。
そして、これらのことは、文面だけでは簡単そうですが、実際にやれば、子どもの反応も様々で、すぐにうまくいかないことも多く、【やっぱり無理だよ!】と感じるかもしれませんが、誰にとっても難しいので、大人が【ペアレントトレーニング】という訓練を重ねて、少しずつうまく対応できるようになるということでした。
決して、一度試して、うまくいかない!と落ち込まないで下さい。
そして、そのようなトレーニングや、サポートが必要だと感じた場合には、躊躇せずに、発達、精神、教育、行動療法の専門家を訪ね、一刻も早く適切なサポートを受ける必要があると思います。子どもに合った専門家を探すことは、なかなか簡単ではないと思いますが、現在は、今回のようなオンラインの講演会や相談会なども全国の様々な機関で実施されていますので、お困りの方は、一度身近で相談しやすい所に、相談してみると良いと思います。
まとめ

進学の際に、知っておくべきお金の話のまとめは以下の通りです。
返済の必要がないお金
- 国の就学支援金
- 都道府県奨学のための給付金
- 市町村の奨学金
返済が必要なお金
- 都道府県の奨学金
- 国の教育ローン
- オリエントコーポレーション学費サポート
その他にも、私学助成金など色々なサポートがある。また、これらのお金の申請時期や申請方法は、ものによって異なり、必要な書類も多いので、早い時期に調べて、時期を逃すことなく申請することが大切。学校入学前にも、入学金や、教材等の購入費など、色々なお金が必要になるので、この辺りも、時期をよく考えて、準備しておくことが大切。
どこに相談すれば良いか分からない場合には、現在通っている学校や都道府県、市町村の奨学金等の窓口などに聞いてみると良いと思います。今回の講演者でもある、原先生も、私学助成金や各種奨学金に携わっているので、相談場所等が分からない方は、一度相談してみると良いかもしれません。
〒243-0018
神奈川県厚木市中町3-16-8
星槎国際高等学校厚木学習センター
☎046-296-5252
奨学金担当原彩子
子どもへの接し方で、重要なことは以下の通りです。
- 子どもを正しく理解する
- 保護者の安定が子どもの安定につながる
- 否定的注目で終わらず、肯定的注目を与える
子どもとの関係や、子どもの問題行動に悩んでいる場合には、決して1人で抱え込むことなく、スピード感を持って、適切な専門家に相談する。ついつい、【自分の育て方が悪いだけかもしれない】【子どもが大きくなれば良くなるはず】【こんなこと恥ずかしくて相談できない】と1人で抱え込んでいる間にも、誤った接し方や対応で、子どもの問題行動や、子どもとの関係は悪化して、最終的に手を付けられない状態になったり、保護者が疲れ切って病んでしまったりします。そういうことを防ぐためにも、早い段階で、専門家のサポートを求めることが必要です。
発達に関する専門家、教育や行動療法に関する専門家、心理に関する専門家、様々な専門家がいるので、子どもに合った専門家を探すことは意外と難しいことだったりします。それでも、まず、誰かに相談することで、信頼できる専門家と出逢うことができるはずです。まずは、躊躇せずに、保護者が一歩踏み出すことだと思います。
そして、子どもの接し方は、すぐにできるようになるものでもなく、【ペアレントトレーニング】と呼ばれる、保護者の訓練(練習)も必要になります。その為にも、子どもだけではなく、保護者も、専門家の力を借りて、無理なく、子どもと一緒に前進することが必要だと思います。
知っていても、なかなか子どもを前にすると実践できないことや、意外と【親なら当たり前にできる】と思う様な、子どもの接し方にも、実際はペアレントトレーニングが必要なことなど、改めて、子どもとの接し方や、子育てで悩んでいる保護者をサポートしていく上で必要な知識や考え方を、確認できたセミナーでした。
また、日本は、世界に比べて、自費で大学や専門学校へ行く学生が大半ですが、コロナ禍で経済的に苦しい家庭が増えている現状や、今後のことを考えると、助成金や給付金などの制度をうまく使って、1人でも多くの学びたい子どもが教育を受けられるように、1人1人が、このようなお金のことにも、注意して考えて行く必要があるのだなと感じました。